原田病

原田病は、ベーチェット病、サルコイドーシスと同様に、頻度の高い「ぶどう膜炎」のひとつです。ぶどう膜とは「網脈膜・毛様体・虹彩」の3つの器官から成り立っていて、眼球の他の部分より血管が多いことが特徴です。日本人を含むアジア系の有色人種に多く、メラニン色素細胞に対しての免疫反応が高まったことが発症の原因と言われています。急に両眼に網膜剥離が生じて見えにくくなることから目の病気と思われがちですが、同時に色素細胞がある、脳、毛髪、内耳、皮膚などにも生じる全身の病気です。

原田病の原因

原田病は、メラニン色素細胞に対する自己免疫疾患が原因と言われています。なぜ、メラニン色素細胞に対して免疫反応が起こるのかは不明ですが、遺伝的要素が深く関係しているとも言われており、白血球の血液型にあたる組織適合抗原が関係していると言われています。通常、免疫反応は細菌やウィルスなど体に害を及ぼす異物を排除しようと攻撃する防衛機能で、健康を維持するためには不可欠なものです。しかし、自己免疫疾患は体の中にある正常な物質を異物と認識して攻撃する免疫反応をお越し、それが原因で炎症などが生じる病気を指します。原田病は、メラニン色素細胞を攻撃することで起こる病気のため、メラニン色素の多い組織である目、耳、髄膜、皮膚、毛髪などに炎症が生じます。

原田病の症状

原田病は、急性びまん性ぶどう膜炎の一種で、目の充血、羞明感(まぶしさ)、目の奥の痛み、霧視(かすみ)、視力低下、飛蚊症などの症状が現れます。眼以外の症状としては、頭痛や耳鳴り、難聴、めまいなどがあります。発症後しばらく経つと毛髪やまゆ毛、まつ毛などの脱毛、白髪化、皮膚に白斑が現れることがあります。
原田病の後期には、脈絡膜の色素が崩壊して明るい色に変化します。これは、「夕焼け眼底」いう原田病特有の症状です。

原田病の診断

原田病は、眼底検査を行うと網膜剥離を伴う典型的な炎症が見られます。この網膜剥離は滲出性網膜剥離といい、炎症に伴って起こるもので、炎症が鎮まると治るため、通常の網膜剥離のように手術による治療は必要ありません。また、原田病の治療は、副作用を伴う治療であるため、確実な診断結果を得るために様々な検査を行います。

・蛍光眼底造影検査
腕の静脈から蛍光色素(造影剤)を注入して、継時的な変化を観察します。網膜剥離が生じている部分で蛍光色素が漏出するといった特有の所見が見られます。

・光干渉断層計(OCT眼底三次元画像解析)
網膜の状態を断面で見ることができる新しい検査で、眼底検査では発見できない僅かな網膜剥離も容易に見つけることができます。病気の発見だけではなく、治癒の過程も観察できますので、治療効果の判定にも大きな役割を果たします。

・超音波検査(エコー)
原田病の初期段階に見られる脈絡膜の厚くなった部分を超音波検査でみることができます。

・血液検査/尿検査
原田病だけに陽性を示す検査ではありませんが、別な病気ではないことを確認するために行います。

・聴力検査
メラニン色素の多い内耳にも症状が出るため、難聴も主な症状のひとつです。普段、自分では気づきにくい聴力の低下を検出するために行う検査です。

・髄液検査
原田病の初期段階に見られる「髄膜炎」を診断するために行う検査です。

原田病の治療

原田病は、眼に強い炎症症状がみられますが、全身の病気ですので、眼に対する治療だけでなく、全身治療が必要です。原田病の初期段階では、免疫抑制作用・抗炎症作用のあるステロイドを大量に全身投与する治療が一般的です。ステロイドの大量投与は、高血圧や血糖値上昇などの重い副作用を伴う恐れがありますので、入院が必要となります。ステロイドの投与は点滴から開始して、徐々に内服薬に切り替えます。ステロイドによる治療は急にやめることができないため、徐々にと投与量を減らしながら、半年程度の期間をかけて治療します。途中で炎症の再発や長期化が疑われる場合には、ステロイドの投与を1年以上続けなければならないケースもあります。点眼薬での治療としては、抗炎症作用のあるステロイド点眼薬での治療を行います。また、虹彩の癒着を防止するための散瞳薬の点眼も合わせて行います。多くの場合、発症後2ヶ月ほどで回復期に入りますが、現段階では確実に再発や長期化を防ぐ治療法がないため、どんなに強い治療を行っても、2~3割は再発もしくは長期化することがあります。