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ICLとは

「ICL」は、Implantable Contact Lensの略称で目の中にレンズを挿入して近視や乱視を治療する視力回復手術のひとつです。レーシックのように角膜を削る手術ではないので、角膜の厚さに左右されることもなく、強度近視の方でも手術を受けることができます。
日本国内では、3種類のレンズが発売されていますが、それぞれに特性がありますので、手術を受ける際はレンズの特性について知っておくことが重要です。最近では、遠視や老眼に対応したICLも登場していますので、近視、遠視、乱視、老眼を治療することができるようになり、幅広い年代の方がICLを検討されています。

ICLとは

ICLとは、Implantable Contact Lensの略称で目の中にレンズを挿入して近視や乱視を治療する視力回復手術になります。最初のレンズが開発されたのは1986年になりますので、手術としては長い歴史があります。世界で100万症例の実績があると言われていますが、視力回復手術の代表格であるレーシック手術は、日本だけでも120万人以上の人が手術を受けられていますので、実績はレーシックの方が圧倒しています。
ICLと同じように目の中にレンズを挿入する手術として白内障手術がありますが、ICL手術は水晶体を残したまま視力を回復させる手術になりますので「有水晶体眼内レンズ挿入術」が日本での正式名称になります。

フェイキックIOLって何?

ICL手術という言葉は聞いたことがある人も多いと思いますが、Phakic IOL(フェイキック・アイオーエル)とい言葉を聞いたことはあるでしょうか?Phakic(フェイキック)とは有水晶体という意味で水晶体を残したままの状態を指します。一方、IOLはIntra Ocular Lensの略で眼内に挿入するレンズの総称になります。白内障手術も眼の中にレンズを挿入する手術になりますので、白内障手術で使用するレンズもIOLに含まれます。Phakic IOLは水晶体を残したまま目の中に挿入するレンズになりますので、皆さんが知っているICL手術はその中の1つという訳です。実は、Phakic IOLは、レンズを挿入する位置によって2つに分類されます。角膜と虹彩の間にレンズを挿入するタイプを前房型レンズと言い、虹彩と水晶体の間に挿入するタイプを後房型レンズと言います。ICLは後房型レンズになるので、虹彩と水晶体の間に挿入するタイプのレンズです。Phakic IOLで使用されるレンズには挿入位置によって様々なレンズがありますので、理解しておくと役に立つかもしれません。

ICLの種類

ICLとは、Implantable Contact Lensの略称になりますが、ICLにも様々な種類のレンズがあります。レンズを挿入する位置によって前房型レンズと後房型レンズに分類されますが、それぞれのレンズにも種類がありますので、実は日本で発売されているICLは全部で8種類もあるのです。最初に発売されたICLはオランダ製の前房型レンズになりますが、後房型レンズで最初に発売されたのはアメリカ製のレンズになります。アメリカ製のレンズだけはコラマーというコラーゲンとポリマーを合わせた素材で作られていますが、それ以外の後房型レンズは「ハイブリッド・アクリル」で作られており、白内障手術でも使用されている実績のある素材が採用されています。

ICLの種類
<前房型レンズ>

・アルチザン(オランダ製)
・アルチフレックス(オランダ製)
・アルチプラス(オランダ製)

<後房型レンズ>

プレミアムICL(イギリス製)
プレミアムICL Pro(イギリス製)
プレミアムICL Pro Max(イギリス製)
EVO+ ICL(アメリカ製)
アイクリルレンズ(スイス製)

上記のレンズは、すべて日本国内で使用されているレンズになりますが、特徴や素材などにも違いがありますし、新しく登場したレンズには合併症の抑制機能も追加されていますので、手術を受ける上では安心材料になると思います。

ICL手術の流れ

ICL手術は、眼の中にレンズを挿入して近視や乱視を改善する手術になります。手術を受けるためには、詳しい目の検査を受ける必要があります。検査の結果、目の状態に異常が認められなければ手術が適応となります。手術は、両眼同日に行うことができますので一日で終了します。手術時間は両眼で数分程度で終わりますので、手術当日にご帰宅いただける日帰り手術になります。手術は点眼麻酔で行いますので、麻酔の注射をする必要もありません。

手術の流れ

点眼麻酔

点眼直後は、少し沁みる感じがあることもあります。


角膜切開

黒目と白目の境目を切開します


レンズ挿入

切開創からレンズを挿入します


レンズの固定

虹彩と水晶体の間にレンズを固定します


回復室

手術後は安静室で一定時間お休みいただきます。

ICL手術の安全性

ICL手術は術式が確立された視力回復手術になりますので、安全性の高い手術であると言えます。また、数分の手術で視力が大幅に回復しますので、効果の面でも高く評価される手術のひとつです。ただし、執刀医の実績やレンズの種類によって左右される部分がありますので、実績が豊富な執刀医に手術をしてもらうことが安心材料の一つになります。
また、レンズによっても違いがあります。従来からある既成のICLレンズであれば、メーカーに在庫があれば1週間程度でレンズを準備することができますが、オーダーメードのレンズは1ヶ月ほど時間がかかります。既成のレンズとオーダータイプのレンズでは、まずレンズのサイズバリエーションが大きく違います。既成のレンズが4サイズしか無いのに対して、オーダータイプのレンズは13サイズも揃っています。既成のレンズは近いサイズで手術を受けるしかありませんが、オーダーメードのレンズは自分に合ったレンズで手術を受けることができます。レンズのサイズが合わないと、手術後に目の中で回転してしまうリスクが高くなります。また、オーダーメードのレンズには、合併症の抑制機能が追加されていますので、現在はオーダーメードのICLレンズを選ぶ人が増えてきています。

まとめ

ICL手術で使用するレンズにも色々な種類のレンズがあることを知っていただけたと思います。また、新しく登場したレンズの方が安全性に係る機能が追加されていますので、多くの患者様から支持されています。ICL手術は、多くの著名人がSNSを通じて手術を受けたことを情報発信したことで知名度が高くなってきましたが、手術である以上はリスクがゼロではありませんので、安全性を重視する傾向が強く見られます。そのため、オーダーメードのICLレンズが高い支持を集めているのでしょう。

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監修者

冨田実
冨田実
冨田実アイクリニック銀座院長
医療法人社団 実直会 理事長
医学博士/日本眼科学会認定眼科専門医
アメリカ眼科学会役員
温州医科大学眼科 眼科客員教授
河北省医科大学 眼科客員教授