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ICL手術で失明することはある?

代表的な視力回復手術に「ICL手術」と「レーシック手術」がありますが、どちらも安全性が確立された手術になりますので、目の状態に適した手術を選択することが大切です。
視力回復手術を検討されている人の中には、「角膜を削ることに抵抗がある人」もいるでしょうし、「目の中にレンズを挿入することに抵抗がある人」もいることでしょう。手術の適応については、検査の結果で診断することになりますが、目の状態に問題がなければ、どちらの手術も選んでいただけます。ただ、眼の中のスペースが狭いとICL手術が受けられないことがあり、角膜が薄いとレーシックが受けられないことがあります。
レーシック手術は角膜表面の手術になりますので、過去に失明したという報告は1例もありませんが、眼の中にレンズを挿入するICL手術ではどうでしょうか?ここでは、ICL手術で失明する可能性について解説していきたいと思います。

ICLで失明する可能性は?

ICL手術で失明したという報告はありませんが、手術後に感染症が起こった場合は、失明に至る可能性はゼロではありません。そのため、手術室の環境や器具の滅菌・消毒、清潔区域と不潔区域の区別など感染症の対策は厳しく管理されています。当院もクリーンルームの完備、ディスポーザブル医材(使い捨て医材)の導入、スタッフへの指導など感染症への対策には気を使っていますので、これまで感染症が起こった例はありません。感染症が起こる確率は3000分の1程度と言われていますので、決して多い数字ではありませんが、いくら気を付けていても、発生する確率をゼロにすることはできませんので、日頃からの徹底した安全管理が必要不可欠です。また、ICL手術は日帰り手術になりますので、帰宅後は患者様自身にも感染症の予防に取り組んでもらう必要があります。手術後の注意事項をしっかり守っていただき、定期検診は必ず受診しましょう。

ICL手術後に視力が低下することはある?

ICL手術後に視力が低下することはある?

ICL手術は、眼の中にレンズを挿入して視力を回復させる手術になりますが、挿入したレンズは半永久的に目の中で機能しますので、長期的に安定した視力の維持が期待できます。
ただし、ICL手術は近視や乱視を改善する目的の手術になりますので、近視の進行を予防する手術ではないことを知っておく必要があります。視力が改善すると、裸眼で物が見えることが嬉しくて、今まで以上に目を酷使してしまうケースも見受けられますので、長時間に渡ってスマホやパソコン、ゲームなどを使用すると新たな近視が進行する可能性があります。目は、近くを見ている時は緊張状態にありますので、時には遠くを見たり、目を閉じたりして、眼を休ませてあげる必要があります。近くを見たままで凝り固まってしまうと、近視の状態が慢性化して、自分で新しい近視を作ってしまうことになりかねないので、回復した視力は大切にしてください。

ICL手術で白内障になることはある?

ICL手術で白内障にはならないという情報を発信しているクリニックもありますが、ICL手術に限らず目の手術や治療には、必ずと言っていいほど白内障のリスクが存在します。
ICL手術は小さな切開創からインジェクターという注射器の様な特殊な器具を使ってレンズを目の中に挿入します。他にもレンズの位置を固定する器具なども使用しますので、眼の中での作業が必要不可欠です。万一、レンズや器具が水晶体に当たってしまうと、白内障が起こる可能性があります。また、手術で使用するレンズの種類によっても白内障になる可能性に違いがあります。目の中に固定したICLレンズと水晶体の距離が近いと白内障になるリスクが高くなります。当院では、レンズと水晶体との距離を確保するためにプレミアムカーブというレンズ設計を採用している「プレミアムICL」を使用しています。

挿入したレンズがズレてしまうことは?

ICLレンズは、日本国内でも複数のレンズが発売されています。現在主流となっている後房型レンズでも様々なレンズが登場していますが、レンズによって持っている特徴が異なります。特にレンズのサイズには大きな違いがあるので、注意が必要です。
メーカーに在庫があれば直ぐにレンズが準備できる既成のレンズは、サイズが4つしかありません。したがって、近いサイズで手術を受けることになります。一方、新しく登場した「プレミアムICL」は患者様の目の状態に合わせてオーダーするタイプのレンズになりますので、レンズを準備できるまでに一定の期間を要します。ただ、レンズの大きさは13サイズに細かく分かれていますので、目の状態に適したサイズのレンズを準備することができます。もし、レンズのサイズが合わなかった場合、手術後に目の中で「傾いてしまうリスク」「回転してしまうリスク」が生じます。乱視用のレンズの場合は、乱視軸がズレてしまうことになるので視力が低下してしまいます。レンズのサイズが、手術後のトラブルに関係してきますので、当院では、開院当初からプレミアムICLを導入しています。

手術後の注意事項をきちんと守りましょう

手術直後は、レンズを挿入するための切開創が治癒していないので、感染症を起こさないためには、傷口から細菌が入ることを防ぐ必要があります。目は、栄養が豊富な器官になりますので、菌が侵入すると増殖しやすい環境です。最も大事なのは術後1週間になります。この間は、「目を触らないようにする」「眼に水や汗が入らないようする」「保護用サングラスを掛ける」「就寝時は保護用眼帯を着ける」「点眼する時は手を清潔にする」の5つの注意事項を徹底していただくことが重要です。ご帰宅されてからは患者様自身に注意いただかなければならないので、手術を成功させるには患者様の協力と理解が必要不可欠です。

まとめ

感染症は目の手術だけではなく、どんな手術においても最も怖い合併症になります。
クリニックには、安全管理と清潔管理を徹底することが求められますが、ICL手術のような日帰り手術は、帰宅後は患者様自身が合併症の予防に注意いただく必要があります。
最近は、多くの芸能人がICL手術を受けたことをSNSで発信していますので、気軽に手術の情報に触れる機会があると思いますが、目の手術になりますのでリスクがあることもご理解いただく必要があります。

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監修者

冨田実
冨田実
冨田実アイクリニック銀座院長
医療法人社団 実直会 理事長
医学博士/日本眼科学会認定眼科専門医
アメリカ眼科学会役員
温州医科大学眼科 眼科客員教授
河北省医科大学 眼科客員教授