白内障手術で使用する眼内レンズの種類について
白内障手術で使用する眼内レンズには、焦点が合う距離によって様々な種類があります。大きく分類すると、1つの距離しか焦点が合わない単焦点眼内レンズと、複数の距離に焦点が合う多焦点眼内レンズに区分けすることができます。単焦点レンズは、遠くもしくは近くに焦点を合わせて、焦点が合わない距離を見る時は老眼鏡や眼鏡を使用します。手術後は、
必ず老眼鏡もしくは眼鏡が必要になりますので、裸眼で生活することは諦めなければなりません。一方で、多焦点眼内レンズは複数の距離に焦点が合いますので、手術後に眼鏡を使用する頻度が軽減されます。裸眼での生活も可能になりますので、最近では多焦点眼内レンズへの注目度が高まっています。当院では、99%の患者様が多焦点眼内レンズで手術を受けられていますので、いつまでも若々しい目で生活したいという方が増えていると思います。
単焦点眼内レンズについて
単焦点眼内レンズは、文字通り1つの距離にしか焦点が合わないレンズになります。遠くに焦点を合わせて、近くは老眼鏡を使用することが一般的ですが、最近はパソコン作業やスマホの操作などで近くを見る機会が多くなっているので、近くに焦点を合わせて、遠くは眼鏡で対応するケースも増えてきているようです。いずれにしても、近方と遠方のどちらかしか焦点が合わないので、眼鏡化老眼鏡は必需品になります。
多焦点眼内レンズについて
多焦点眼内レンズは、複数の距離に焦点が合うレンズになります。最初は、遠方と近方の2つの距離に焦点が合う2焦点眼内レンズが登場し、老眼鏡に頼らない眼内レンズとして期待を集めました。その後、遠方・中間・近方の3つの距離に焦点が合う3焦点眼内レンズが登場し、今では4焦点、5焦点と新しい多焦点眼内レンズが開発されています。
多焦点眼内レンズは、複数の距離に焦点が合いますので、白内障と同時に老眼を改善できるメリットがあります。一度の手術で、白内障と老眼を改善できますので、白内障が軽度であっても、老眼で不便されている人は、早めに白内障手術を済まされています。その方が、長く快適な日常生活を送ることが期待できるからです。多焦点眼内レンズの登場によって、白内障手術の目的が「白内障」と「老眼」の治療へとランクアップしましたので、白内障手術を受ける時期や手術の方法など、白内障手術に対する考え方やイメージが変化しています。
<多焦点眼内レンズの焦点>
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2焦点眼内レンズ:遠方、近方
3焦点眼内レンズ:遠方、中間、近方
4焦点眼内レンズ:遠方、遠中、中間、近方
5焦点眼内レンズ:遠方、遠中、中間、近中、近方
レンズによる焦点の違い
レンズを選ぶ際の注意点
白内障手術で使用する眼内レンズを選択する時には、将来的にレンズを入れ替えることを考えてはいけません。白内障手術では、濁った水晶体を超音波で砕きながら吸引して取り除きますが、水晶体は水晶体嚢という薄い袋に包まれており、水晶体嚢の中身だけをくり抜いて、その袋の中に眼内レンズを挿入します。そのため、挿入したレンズは簡単に取り出せる訳ではありません。袋ごと取れてしまえば、元の位置にレンズを挿入できなくなりますし、
袋を支えている筋肉が切れてしまい、レンズごと目の中に落下してしまうリスクもあります。多くの種類の多焦点眼内レンズを扱っている当院には、過去に単焦点眼内レンズで手術を受けた方から、「多焦点眼内レンズに入れ替えて欲しい」というご相談がよく寄せられます。しかし、レンズを入れ替える処置はリスクを伴いますので、気軽に入れ替えられる訳ではありません。何らかの緊急性のある事情でれば、リスクを承知でレンズの入れ替え処置を行う場合もありますが、単焦点レンズの見え方に不満があるだけでは、入替処置はお勧めできませんので、最初の手術でしっかりとレンズを選ぶことが重要です。
*単焦点レンズを多焦点レンズに変えるレンズが登場
単焦点レンズの上から重ねて挿入できる特殊なレンズが登場していますので、単焦点眼内レンズの見え方に不便を感じている方には、レンズを取り除かずに処置ができるようになりました。非常に多くの患者様からご相談を頂いておりますので、単焦点眼内レンズから多焦点眼内レンズに入れ替えたいという希望がある方は、ぜひ当院にご相談ください。
まとめ
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